「ついに梅雨明けかなあ」 「多分な!あーやっと外で練習できる!」 「そっか、野球部は梅雨時退屈だよね」 「そうでもないぞ?俺走るの嫌いじゃないし!」 「へー、うらやましい」 「なあ、授業終わったら屋上いかね?」 「なんで私と田島が」 「だってもっと近くで見たくねえ?久しぶりのコバルトブルーの空だぞ!」 「コバルトブルー?」 「そうだよ。何か深みのある空の色!今日みたいな!」 「初めて聞いた」 「うちのじーちゃんが言ってたんだ。何かいいだろ!」 「うん、いいかも」 「だろ?だから見に行こうぜ!屋上!」 「・・・・・・うん、そだね」 こうして変な約束が取り付けられた。このとき既に私の頭からは、さっきの苛々は消え去っていて、代わりに田島の言葉がぐるぐる回っていた。コバルトブルー。この綺麗な青空にはぴったりな名前だと思った。田島のおじいちゃん、センスいい。本とかよく読むのかな。どんな人なんだろ、なんて田島のおじいちゃんに思いを馳せていたら、チャイムが鳴った。先生は物足りない顔をしてるけど、そんなのみんなお構いなしだ。その代表と言ってもいいくらいの田島は目を輝かせて私を見ている。まるで散歩に行きたがってる犬だ。でもそれが何だかいいと思った。田島らしいって言うのもなんか変だけど。 「、はやく!」 「ちょ、待って」 「よーし、競争な!」 「え、私走るの苦手!」
コバルトブルー
真っ青な空と田島の笑顔、そしてはにかむ私。 実験的な感じ。こういう書き方も楽しいかもしれない! 夏は田島のお話をたくさん書きたいです。さわやか。 2009/07/19 ウインドウを閉じてお戻り下さい |