そして、本屋に行くことにした。時間もあるし、ついでだから雑誌とかも見ていこうかな。





「・・・よーし、そろそろ買って帰ろうかな」

 いくらなんでも長居しすぎたと後悔しながら、私はレジへと向かった。さすがに左肩が痛くなってきちゃったよ。鞄は軽いはずなんだけどな。
 夕方だからか本屋はまあまあ混んでいて、レジも少し並んでいた。最後尾につきながら私は、どうせなら文庫の方も見てくれば良かったなんて、懲りずに思っていた。

「お次のお客様、こちらへどうぞ」
「はーい、・・・ってあれ、バジル?」

 呼ばれて向かったレジには、意外なことにクラスメイトのバジルがいた。バイトしてるっていうのは知ってたけど、まさかここの本屋だとは思わなかった。バジルも驚いたようだ。

殿!奇遇ですね」
「そうだねー。ここでバイトしてたんだ?」
「はい!本のカバーを高速でかけられるようになれば、忍者になれると教わったので!」
「・・・だ、誰に?」
「リボーンさんです」
「あ・・・そっか、リボーンくんか」

 バジル、それ騙されてるよ・・・。即座にそう思ったのだが、あんまりキラキラした目で言われたもんだから何も言えなかった。忍者になれるって聞いて、本当に嬉しかったんだろうなあ。まあ店の迷惑にもならないわけだし、しばらくは内緒にしておいてあげようと、私は思った。

「・・・早く忍者になれるといいね」
「はい、頑張ります!それじゃあこれ、お先にお品物です」
「ありがと。じゃあこれ、ちょうどで」
「はい、ちょうどお預かりします」

 手際良く仕事をこなすバジルを見ながら、私は感心してしまった。すごいなあ、なんかかっこいいなあ。私もバイト始めようかな。もうちょっと学校から離れたところがいいけど。
 レシートを受け取って、品物を鞄にしまう。ちらりとカバーを確認してみると、とても綺麗に掛けられていた。忍者になれる日も近いのかもしれない。

「じゃあバジル、頑張ってね」
「はい!じゃあまた明日、学校で」
「うん」

 手を振りながらレジを離れると、バジルはすぐに次の客を呼んだ。何となく気になって、歩きながらも耳を澄ましておく。まあバジルのことだから、接客業もそつなくこなせるんだろうけど。

「おとといいらっしゃいませ!商品お預かりします!」

    明日学校で、挨拶の仕方を教えてあげよう。そう思いながら、私は足早に本屋を出た。






【家庭教師ヒットマンREBORN!】バジルEND


2010/05/05