「つっても、これ消したら真っ暗になるよ?」 「怖い?」 「べっべべ別に怖くなんかねーけど?何言ってんの。銀さんに怖いものなんてないからね、生まれてこの方」 そう言いながら、銀時はケーキのお皿を持ち上げた。小さな、だけど豪華なタルトが私たちの間で堂々としている。勿論ホールのケーキもちゃんと買った。そっちはさっきみんなで食べて、今はもう箱が残ってるばかりだ。本当だったら蝋燭はホールのケーキの上で踊っているはずだったのだが、銀時の変な猛反対 十月十日はあと少し。その蝋燭を吹き消したら、部屋の準備だって完了する。だけどそんなこと恥ずかしくて言いたくないから、銀時をじっと見る。早く消して。そうしたら後はみんな、銀時にまかせるから。 「ホントに消していい?」 「うん、いいよ」 「消しちゃったらその・・・」 「ん?」 「だから・・・アレだよ、あの・・・」 珍しく歯切れが悪い銀時の態度に首を傾げると、彼はだからよォ、と唸るように言って顔を背けた。 「消しちゃうと、もう我慢とか出来そうにないっつーか」 「ちょ、何やってんのちゃん!」 「何って、蝋燭消したの」 「そりゃそうだけど、そうじゃなくて!」 「・・・もー、鈍いなあ銀時」 私はお皿を引っ張った。真っ暗なせいか、銀時は素直に手を離す。出来るだけ遠くにそれを置くと、ケーキ分の距離を詰めた。顔はほとんど見えないのに、息づかいはいつもよりはっきりと感じられる。彼女の特権だよなあ、なんて思いながら、手探りで銀時に抱きつく。彼は驚いたようで、小さく声をあげた。 「我慢とか必要無いよ、お誕生日なんだから」 最中に小さな声でおめでとうと言うと、銀時はそっけなく、俺今日誕生日じゃねーし。と言った。びっくりして彼を見ると、にやにやしながら枕元の時計を指さす。目を凝らして見つめてみれば、時計の針はすでに12時05分を指していた。そっか、もう11日なんだ。そう思うと何だか少し寂しくて、私は銀時の背中に腕をまわした。銀時はくすりと笑うと、強く抱きしめ返してくれた。 「次の誕生日も、二人っきりのときは蝋燭よろしくな」
灯りが消えたら 外が明るくなるまで、一緒にいようか さかたんのみってのもアレじゃねー?と言うことで書いてみました。 長く見えるのは空白のおかげですね!誕生日夢なのに内容うっす!笑 銀さん誕生日おめでとうございます! 2009/10/10 |