例えば今アイスの当たりくじが出たとする。そう、今食べてるこのガリガリ君ソーダ味で。そしたら私はこれをどうするだろうか、なんてふと考えた。 勿論普通なら、自分で交換に行って、この至福の時をもう一度みたいな感じになるんだろう。私だって夏場なら絶対そうする。夏のガリガリ君ほど美味しいものはないよ。いやホント。 ただ残念ながら今は夏じゃないし、お腹もいい感じに膨れている。ということはこれを誰かに託さなければならない。幸せのお裾分けとでも言うべきか。ああ腹立たしい。なんで今出るんだよ、当たり。 ・・・あ、まだ出てなかった。水色のかたまりはまだ半分以上、棒にくっついている。 となると。私は教室をぐるりと見回した。この中から選ばなきゃならないのか。 土方は…ダメだ。だってアイツ間違いなくマヨかけるもん。んで間違いなく「旨い」って言うもん。ありえない。 んじゃあ近藤? ・・・うん、イヤだわ。何がって言わないけど。それにお妙さん以外の女子からは物をもらったりしないとか言われたらムカつくし。 じゃあやっぱりアイツか。実は初めから目を付けていた人物をちらっと見る。 桂だ。 アイツなら人様からもらったものを邪険に扱ったりしないよ、きっと。それに意外にアイスが好きだったりするかもしれない。ここは桂にするべきだ。 そうと決まれば、と私は立ち上がった。最後の一口を口内で溶かしつつ、歩を進める。まだ当たりかどうか決まった訳じゃないけど、でもなんか今なら当たる気がするもん。今きっと波が来てる。 私は桂の前で立ち止まった。 「桂、あのさ、コレ」 「なんだ?」 機は熟した。私は勢いよく、棒を口から出した。 「・・・・・・・・・」 「?」 「コレ・・・捨てといてくれない?」 |