「 テスト明け、久々の部活だと喜んで部室に向かっている途中で、嫌な放送が流れた。何でこのタイミングで美化委員長を呼び出さなければならないのか。絶対大した用事じゃないよ。また先生の自慢話聞かされるとかそんなんだよ。 「・・・失礼しまーす」 職員室のドアを開けると、先生方が哀れむような目で見てきた。月一ペースで呼び出される私でさえこんなにうんざりしているんだ。毎日同じ部屋で同じ話を繰り返し聞かされる先生方はどれほど苦痛なのだろうか。心の中でご愁傷様ですと呟いて、私は奥へと歩を進めた。 職員室を一周してみたが、どうやら先生は席をはずしているらしい。呼び出したくせにいないとはどういうつもりなのか。ここで部活へ向かえるだけの度胸があればよかったのだが、生憎私は小心者だった。一方的とは言えども、約束をすっぽかすなんてこと、私には出来ない。 とりあえず、銀八先生と話でもしてこようかな。暇だし、どうせあの人も暇だろうし。 「銀八せーんせ・・・・・・あ」 銀髪がちらついた先に向かって声をかけると、振り向いた先生の先に人の姿が見えた。しまった、先客か。 「おー。何だ、用事か?」 「いや、あの・・・お話中だったらいいんですけど・・・あれ」 「・・・・・・」 「・・・オイオイ、お前ら本当にクラスメイトかー?久々に会ったのに挨拶も無しかよ」 銀八先生が呆れたように言う。いや、そう言われても・・・。私は目の前の人物をちらりと見た。クラスメイトって言っても、この人何回クラスに来たのよ。名前さえはっきりしないんだけど・・・えっと、なんだっけ・・・た、高杉、くん? 「坂田先生、アンタいつになったらあの書類出してくれんの!もうとっくに期限過ぎてんだけど!」 「あ、忘れてた。すいまっせーん今からやりまーす。あ、でも高杉・・・まあいっか。、しばらくコイツの相手しててくんない?」 「はぁ!?」 「少しの間だからよー。ちょ、頼むわ」 「え、先生・・・ちょ!」 必死に伸ばした手は、あと少しのところで先生の白衣を掴み損ねた。恐る恐る高杉くんの様子をうかがうが、さっきと変わらず無表情のままだ。とりあえず会話を探すが、共通の話題など見つかるはずもない。ていうかこの人、他人と楽しく会話できるタイプの人間なの?どうもそういう風には見えないんだけど・・・。 「あ、あの、えーと・・・高杉くん?」 「・・・・・・」 「が、学校来たの久しぶり・・・なんだよね?」 「・・・・・・」 「て、テストは・・・受けた?」 「・・・・・・」 「あ、あの・・・私の名前、知ってる?」 「・・・」 「・・・・・・え、うそ」 |