「うおりゃァァァ!土方死ねェェェ!」 「総悟テメッ・・・石入れんなっつったろ!」 「うわっこんなところに山崎さんが・・・!地味だから気づかなかった!」 「君に言われたくないよ新八くん!」 「俺は今回はお妙さん専属のボディーガードに徹しますよ!」 「頼んでねェよゴリラァァァ!」 この寒空の下、3Zの面々は一体何をしているのか。もう薄々はお分かりだろうが、冬の定番の雪合戦を楽しんでいるのである。そう、始めた頃は純粋に楽しんでいただけだったのだ。 「銀八先生が余計なこと言うから・・・」 開始して5分程経った頃、グダグダな試合展開に飽きたのか、先生が 「勝った奴には景品やるぞー」 と、いつもの気だるい感じで言い放ったのである。皆が気づいていたかどうかは分からないが、私はその時違和感を感じていた。銀八先生の目が・・・輝いていたような気がしたのだ。 「景品は、のチューだから」 ・・・・・・案の定だった。 男子達は何故かやる気になってしまって、反対だと言ってくれた女子の面々も、勝ったらスイーツの食べ放題の券あげると言われてあっさりあっち側についてしまった。 「あー・・・誰が勝つんだろう・・・ていうか寒いし暇だし・・・早く終わらないかな」 雪合戦は先ほどからこう着状態で、見ていたってつまらない。携帯を取り出して、適当にネットを見ながら、決着がつくのを待った。 「・・・おーい、決まったぞ」 10分程して、銀八先生がやってきた。心なしか顔が青いのは気のせいだろうか? 誰に決まったのだろうと辺りを見回すと、やはり皆青い顔をして、私から目を逸らす。え、どういうこと? 「え、誰が勝ったんですか?」 「・・・それが・・・」 口を開いた先生の後ろで、大きな影が動いた。近づいてくるそれを見て、私は自分の顔が青ざめてくるのが分かった。 「いやぁ、3Zのアイドルのさんにチューしてもらえるなんて・・・僕は幸せものだ。今度こそ本当に花になれそうな気がします」 「・・・・・・・ま、まじすか」 「じゃあ、よろしくお願いします」 |