今日は剣道部のミーティングがある。それなのに俺はマネージャーのちゃんと商店街を歩いている。大体の人は検討がつくだろうが、買出しに行かされたのだ。全く、人使いが荒いったらありゃしない。俺はともかくちゃんまでパシるとは、どういう神経してるんだろうか。 そりゃ勿論彼女はマネージャーだからそういう仕事するのが当たり前なのかもしれないけどさ、でもこんなに可愛くて、細い子に荷物を持たせるなんて、俺には出来ないよ。やっぱ男としては。 「ちゃん、重くない?」 「平気だよ。山崎くんこそ大丈夫?そっち、重いでしょ?」 「全然平気。俺、男だし」 正直、2Lのペットボトルが大量に入っている袋は、見た目通りとても重かった。でもここでいいとこ見せとかなきゃ、俺きっと地味な人って印象で終わっちゃう気がするんだよな。それだけは避けたい。 指に食い込むビニール袋から意識をそらそうと目を泳がせていると、隣でちゃんが笑っているのが見えた。 「ん、なんか面白いことでもあった?」 「んーん、あのね、意外なところで夢叶っちゃったなって思って」 「夢?」 「うん」 何のことだろうと俺が首を傾げていると、ちゃんはちょっと照れたように笑った。 「私ね、いつか制服でデートしたいなって、昔から思ってて」 「・・・・・・え?」 俺は驚いて、思わずビニール袋を落としそうになった。ギリギリのところで気がついて、ぎゅっと手を握り締める。 え、今・・・デートって言ってたよね?俺の聞き間違い? 「・・・あ、ごめん!引くよね・・・実際はデートでも何でもないのに・・・。でも何となくそんな感じがしちゃったんだよね。何でだろ・・・」 「ひ、引かないよ!引くわけ無い!むしろ嬉しいっていうか・・・」 そこまで言って、俺は慌てて口を閉じた。このまま喋り続けたら、俺、とんでもないこと口走るような気がする。 「わ、嬉しいとか言われると何か照れるね・・・。緊張してきた!」 「お、俺も・・・」 そこから俺達は、この不自然な空気を追い払おうと必死になって話した。その時はお互いすごく笑ったし、面白かったんだと思うんだけど、正直内容は全然覚えてない。デートという単語が頭の中を駆け巡って、俺はプチパニックを起こしていた。 今までそんなに意識してなかったけど、俺ってもしかして・・・ちゃんのこと好きなのか? 「・・・何か今日・・・暑くねー?」 「うん・・・・・・暑いよね」 |