「ということで、我が銀魂高校は今年からマラソン大会を開催することにしたぞ。皆張り切って参加するように!」

うんうん、今日の朝礼もばっちし決まったのー。皆、余の演説に聞き惚れておったわ。
ほくほくしながら壇上を降りると、生徒達が何やら叫んでいるのが聞こえた。きっと余に対する声援じゃろ。全く、そんなことしても何も出んぞー?珍しい生き物くれるなら考えてもいいけど。

   何でそんな面倒な行事やんなきゃいけねーんだよ!」
「そんなことしたって誰も喜ばねーぞ!」
「やりたいんならテメー1人でやれよバカ校長!」
後ろから飛んでくるゴミやボールなどを避けながら、余はため息をついた。子供は元気が一番じゃが、やんちゃすぎるのも考え物じゃな。・・・あいたっ!なんか当たった!
「よく吠える奴らじゃのー。・・・つーか今バカっつったの誰だ!教頭、そいつシメてきてくれんか」
「んでそんな面倒な事しなきゃなんねーんだよ」
「面倒とはなんだ!ていうかちょっとは敬語使えよ!余の方が偉いんだからね!」
「へーへーすいませんでしたバカ校長」
「バカじゃない!ハタ!」
ジャンプSQを片手に体育館へと戻っていく教頭を見て、余は少し殺意を覚えた。何でアイツSQ持ってんの?何で教師が朝礼に漫画持ち込んでんの?
いつかクビにしてやると心の中で悪態をついた後、余は歩き出した。早く校長室に戻ってペット達の世話をしてやらんと。

「あの、校長先生」
「ん?」
後ろから聞こえた女子の声に振り向くと、そこには3Zのが立っていた。3Zで唯一の常識人じゃから、しっかり覚えておったのだ。
「なんじゃ?余に用事か?」
「あの、お願いがあるんですけど」
「言うてみい」
この子は頭もよければ外見もいい。噂によれば性格もいいという話じゃから、内容によっては叶えてやらんこともないな。あ、コレ贔屓じゃないから。しいて言うならご褒美だから。校長先生からの。
「マラソン大会を中止して下さい」
「あー、よいぞ」
「え、いいんですか?」
「え?あ、ダメダメ!今の無しじゃ!」
まさかそんなお願いをしてくるとはのー・・・。用意してた答えをそのまま言ってしまったぞ。いくら優秀なの頼みとは言ってもな、一度宣言したことは撤回とか出来ないから。メンツとかあるし。
「じゃあ・・・・・・サボっちゃっても、いいですか?」
「やむを得んな。よいぞ」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
嬉しそうに笑って去っていったを見て、余は心底満足した。生徒を喜ばせるのがこんなに嬉しいとはな。教師やっててよかったの。
「え、じゃあ俺もサボっていい?バカ校長」
「・・・・・・教頭、お前次やったらマジでクビだかんな」








先生、


サボっていいですか

大会当日、3Zの生徒が全員サボるということを、この時の余はまだ知らない









2008/04/24


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