「先生ー保健室行ってきてもいいですか」
「なんだー新八くん、調子悪いの?仕方ねーなー」
「先生、私が付き添います」
「そうしてやれー。ホント性格と料理の腕前以外はよく出来た姉だな」
銀八先生の真横を、シャーペンがすごい勢いで通り過ぎるのを、私はぼーっと見つめていた。
そうか、保健室という手があったか。こんな面倒な授業受けてるほうが馬鹿馬鹿しいもんね。
「あの、先生、あたしも・・・」
「先生ー!俺はお妙さんの付き添いで保健室に行きたいんですけどー!」
「意味分かんねーんだよゴリラァァァ!」
ナチュラルに言葉を遮られたあたしは、近藤がすごい勢いで吹っ飛んでいくのを、ぼーっと見つめていることしか出来なかった。ああもう、このクラスはどうして人の話し聞かない人ばっかりなんだろう。
「先生ー。授業受けるの面倒なんで保健室で寝ててもいいですかィ?」
「沖田くんはっきり言いすぎ。でもいいよここでわざとイビキかかれてもウザイから」
「先生ー私お腹空いたからでにぃず行ってきていいアルか」
「神楽ァせめて保健室って言えー。テーマとズレちゃうから」
「せ、先生、あたしも・・・」
「先生ーマヨ買ってきていいですかー切れちゃって調子悪いんで」
「土方ーお前はそのまま王国へ帰れー」
・・・またやられた。なんかもう嫌になってきた。
ぞろぞろと教室を出て行くクラスメイトを見て、あたしはため息をついた。自分のためなら何でも有りか!知ってたけど。知ってたけどね。でもこの状況は無いと思うんだ。絶対無いと思う。
「なんで全員出ていっちゃったの」
のびてる近藤はさておき、今この教室にいるのは先生とあたしだけ。
「ったく、3Zは要領よすぎんだよなーバカなくせに」
「え、これからどうするんですか、授業するんですか」
「いや、こりゃさすがにやんねーかな」
「じゃああたし帰っていいですか」
「いや、それはちょっと」
「じゃあ・・・・・・保健室行っていいですか」
「え、ダメ」
「なんで!」
銀八先生はあたしの机を引っ張ってスペースを作ると、あたしと机の間に割り込んだ。ニヤニヤと笑いながら、あたしを見下ろす。
「な、なに・・・」
「先生さー、ちゃんとお話したいんだよね」







先生、保健室に


行ってきます

何故だか分からないけど、あたしは先生の目を逸らせなかった









2008/04/19


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